新約聖書の写本、新約聖書が書かれた年代
仮に聖書はクリスチャンが主張するような神の言葉であったにせよ、聖書の原本が消滅してしまっている今日、その原本に書かれた内容を知ることができるのでしょうか? 聖書は人の手によって、数千年に渡り、伝達されてきましたが、その間にその内容が変わってしまったということはないのでしょうか?
新約聖書が書かれた年代
1.新約聖書は50年代から90年代後半にかけて書かれました。
紀元前4年 イエス・キリスト生誕
紀元27年 イエス・キリストはパレスチナの地で宣教し始める
紀元30年 イエス・キリストは十字架上で死ぬ
紀元50-60年 パウロが諸教会に手紙を書き送る
紀元60―70年 福音書(マタイ、マルコ、ルカによる福音書)が書かれる
紀元90年 ヨハネによる福音書と黙示録が書かれる
これらの原本(オリジナル)は現存していません。それではどのようにして、今私たちが手にしている聖書が、最初に書かれたものと同じ信頼できる文献だと思えるのでしょうか。まず写本について考えてみましょう。
新約聖書の写本
1.現存する写本 ここでいう写本とは、手書きによって写されたものの中でも、原語(ギリシャ語)の写本のことです。新約聖書の原本はおそらく、一世紀の後半にパピルスに書かれたものと思われます。その原本は現在知られている限りでは全て消滅していますが、5、000以上の写本が現存しています。写本には二種類あり、大文字の活字体で書かれたものもの(ウンシャル)と小文字の筆記体で書かれたもの(カーシィヴ)があります。大文字で書かれたものは9世紀以前のものであり、写本としては小文字のものよりも貴重です。5、000ほどの写本のうち、約300が大文字のものです。
2.他の古代の書物の写本との比較 歴史的な文書の信頼性を調べる際にその基準となる主な2点は、現存する写本が信頼できるものかどうか、また、原本が書かれた時とそれらの写本が書かれた時までの期間の長さがどれだけのものかということです。下記の表は、古代の書物の写本と新約聖書の写本の比較です。
アリストテレス(書かれた年代 紀元前384ー322年、最古の写本の年代 紀元1100年、原本と写本の間の年数 1,400年、写本の数 49)
ホーマ (書かれた年代 紀元前900年、最古の写本の年代 紀元前400年、原本と写本の間の年数 500年、写本の数 643)
プラトン(書かれた年代 紀元前427-347年、最古の写本の年代 紀元900年、原本と写本の間の年数 1,200年、写本の数 7)
タキトウス(書かれた年代 紀元100年、最古の写本の年代 紀元1100年、原本と写本の間の年数 1,100年、写本の数 20)
スエトニウス(書かれた年代 紀元75-160年、 最古の写本の年代 紀元950年、原本と写本の間の年数 800年、写本の数 8)
ヘロドトス(書かれた年代 紀元前480-425年、最古の写本の年代 紀元900年、 原本と写本の間の年数 1,300年、写本の数 8)
新約聖書(書かれた年代 紀元50-100年、最古の写本の年代 紀元125年、原本と写本の間の年数 25年、写本の数 5,000)
(「判決を要求する証拠」、ジョシュ・マクドウェル著、Here's Life Publishers,Inc.、1979、42~43ページから)
初代のクリスチャンによる聖書の引用
イエス・キリストの教えを直接聞き、またイエス・キリストの復活を見た最初の弟子たちは、後100年ぐらいにすべて死んでしまいます。彼らは新約聖書の原型になるものを書き残しました。初代のクリスチャンは、最初の弟子たちの証言を直接聞き、イエス・キリストの教えを請いました。さらに初代のクリスチャンたちは、新約聖書の原型になる文献を「まわし読みして」イエス・キリストの教えと生涯を学んだのです。
ローマのクレメンスは、紀元95年ごろ、コリントの教会宛てに手紙を書いています。その中で彼は、福音書(マタイ、マルコ、ルカ)、使徒行伝、ローマ人への手紙、コリント人への第一の手紙、エペソ人への手紙、テトスへの手紙、ヘブル人への手紙、ペテロの第一の手紙から引用しています。 殉教者ユスティノスは、紀元108年ごろクリスチャン宛てに手紙を書いています。彼は新約聖書の27書のうち、19書から引用しています。他にも多くの初代クリスチャンたちは、新約聖書から引用しています。たとえば、イレナエウス(130~202)、アレキサンドリアのクレメンス(150~215)、オリゲネス(185~ 254)、テルトリアヌス(160~220)、ヒッポリュトス(170~ 236)、エウセビオス(265ー340)、これら7人の文書の中にある聖書の引用箇所を合計すると36,289箇所になります。
これらの事実は、新約聖書がクリスチャンの間で権威ある書物として読まれていたこと、そして新約聖書が実際に存在していたという重要な裏づけになるものです。
本文批評学
本文批評学とは、すべての写本、証拠を研究して、原本を復元させようとする科学のことです。
1.写本の誤りにはどのようなものがあるのでしょうか。
A.故意的でないもの
1. 手、目、耳、による間違い
2. 加えてしまったり、省いてしまったりする間違い
B.故意的なもの 誤りと思われるものを書記が正そうとしたり、一つの福音の記事を他の福音の記事と調和させようとした ことによる誤り。
2.本文批評学者は写本からどのように原本を復元しようとするのでしょうか。
A.基本的なルール
1. より難しい読み方を取ります。(写した時に抜けてしまう場合がある。)
2. 質(写本の)の証言は、量の証言よりも重要です。(信頼できる古い写本を重要視します。)
3. 福音書などの平行した箇所の場合は、異なった読み方を取ります。
B.「200、000の誤り」の内訳
聖書の写本には200、000の誤りがあるといわれますが、例えば、一つの写本に一つの綴りの間違いがあったとする と、5、000の写本があれば、それだけでも5、000の間違いになります。写本の間違いのほとんどは本文の内容に 影響のないものです。 1960年に、メートルはクリプトンの光りの波長で定義されるようになりましたが、それ以前には、メートル原器というものがあり、それは1メートルの長さを正確に示す最高の標準尺でした。国際メートル原器はパリに保管されています、それと同じものが日本では通産省工業技術院計量研究所に保管されています。たとい何らかの理由でこの世からすべてのメートル原器が消滅しても、私たちの手元にはそれに準じるものがあり、それらによって十分な測量や計量が行われ、従来通りに建設や製造を続けることができます。同じように聖書の原本が現在消滅していても、私たちの手元にはそれに準じるものがあり、クリスチャンはそれによって神の意志を正確に知り、またそれに従って確かな人生を歩むことができます。
最終更新日: 2009年8月 1日(土) 02:50 JST|839 閲覧件数
コメントは投稿者の責任においてなされるものであり、サイト管理者は責任を負いません。